Columnコラム詳細

  • 民法(相続法)の改正について その2

    2019.04.04



2018年7月に、相続法制の見直しを内容とする「民法及び家事事件手続き法の一部を改正する法律」と、法務局において遺言書を保管するサービスを行うこと等を内容とする「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立しました。
前回(2月21日のコラム)は、「自筆証書遺言の財産目録については手書きでなく、パソコンでの作成やコピーの添付でもよくなった」というお話をしましたが、今回は2019年7月10日に施行される「自筆証書遺言の保管制度の創設」についてお話したいと思います。

「自筆証書遺言」とは、もっとも軽易な遺言で、いつでも自らの意思に従って作成することができ、遺言書作成にあたって証人が立ち会うといった必要もないので自由度も高い方式です。
ただ、デメリットとしては、遺言の存在自体を相続人が気づかない恐れや、変造・偽造、または騙されて遺言を作成されたとしても、そのことに気づきにくいことが挙げられます。
また、手続き上、相続開始とともに、家庭裁判所の検認が必要となるため、相続人の手続きの手間が増えてしまいます。

今回の「自筆証書遺言の保管制度の創設」では、自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができるようになります。
つまり、遺言者の死亡後に、相続人や受遺者らは、全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうかを調べること(遺言書保管事実証明書の交付請求)、遺言書の写しの交付を要求すること(遺言書情報証明書の交付請求)ができ、また、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできるようになります。そして、遺言書保管所に保管されている遺言書については家庭裁判所の検認が不要となるので、これまでよりずっと、この「自筆遺言書」を活用しやすくなるというわけです。
なお、被相続人の死後や、相続人の誰かが、遺言書が保管されているか調べたり、遺言書の写しの交付を要求したりした場合は、遺言書保管官は、他の相続人に対し、遺言書を保管している旨を通知してくれるので、遺言書の存在を知らずにそのまま放置されるということもないのもメリットとなります。
手数料等についてはまだ明確になってませんが、公正証書遺言作成より安い金額であれば、より多くの人が利用しやすくなる制度となると思います。

うまく制度を活用して、きちんと残された遺族がもめないようにしておきたいものですね。