2019.08.02
7月31日の日経新聞朝刊に「マイナス利回り債券 残高13兆ドル 世界の4分の1」という記事がありました。
国内債券は2016年2月に初めてマイナス金利になり11月までその状態が続き、2019年1月末に再びマイナス金利になって現在はマイナス0.15%の水準です。
国内債券のみならず欧州のフランス、スイスなど主要国の国債がマイナス金利です。ドイツ国債にいたっては10年債がマイナス0.4%台で取引されている状況です。
マイナス金利の債券を満期まで保有していれば損失が出ます。しかしながらマイナス金利が常態化している状況は、考えてみれば不思議な事です。
何故投資する人がいるのでしょうか? 皆さんは疑問を感じませんか。
先進国の中でも比較的金利水準が高かったオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、ノルウエーなどの10年債利回りも昨年秋から急低下、現在は1%台前半の水準で推移しており投資妙味は薄れてきています。こういう状況ですので、普通に債券に投資してリターンを得る以外の方法を考える投資家がいます。
例えば米国の投資家ですが、彼らは円債やドイツ国債に対して投資し、同時に為替ヘッジを行います。円債やドイツ国債はマイナス金利ですので普通に考えれば損失が出る訳ですが、為替ヘッジをしているので実際は利益が出ます。この方法で米国債に投資するよりも高いリターンを得ているようです。
以下、詳しく説明します。
日本の金利が0%、米国の金利が3%、円ドル為替レートが100円/$だと仮定します。
日本の投資家が米国の債券に投資すると同時に為替ヘッジをした場合、為替ヘッジのためのコストはどのように決まるのでしょうか?
日本では金利0%ですので100円は1年後に100円のままです。一方、米国では1$が1年後に1.03$になります。この時1年後に1$=100円のままで為替取引に応じてくれる相手はどれだけのコストを要求するか。1年後は1.03$=100円で交換することが正しいのですから、0.03$すなわち3円のコストを要求するのでしょう。
つまり金利の低い国から金利の高い国に投資し為替ヘッジを行えば、金利差分のコストを支払う必要があります。
では逆に金利の高い米国の投資家が金利の低い日本の債券に投資し、為替ヘッジをした場合はどうなるのでしょうか? 金利差分の利益が確実に手に入ります。これを為替プレミアムと呼びます。
こうした事に着目した海外投資家の一部が日独のマイナス金利国債を購入しているようですが、金利差の動向次第でどうなるかわかりません。このような異常な状態がいつまでも続く訳がありませんね。常識に立ち返って考える必要があると思います。
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