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  • 100年に一度の金融危機から10年たって思う事

    2018.05.31



2008年6月のニューヨークの空は晴れわたっていました。
2007年夏に「サブプライムローン問題」が表面化、そして2008年3月には米国の老舗証券会社「ベアスターズ社の身売り」というニュースで株式市場は軟調な展開となっていましたが、多くの人々は楽観的でこの調整は一時的なものと考えていたように思います。

しかし、2008年9月の大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻で世の中が変わりました。グリーンスパン前FRB議長が「この金融危機は100年に1度しか起こらないレベルの大きなもの」と発言したこともあり、世の中は悲観論一色に染まることになりました。2008年9月から2009年3月までのわずか半年の間に、株式市場は50%以上も下落することになります(同様に株式以外の資産も大きく下落しました)。
2009年3月の東京の空がどんよりとしていたことを良くおぼえています。

現在、米国は景気拡大が続き、このまま行けば2019年7月には戦後最長の120か月を抜くことになります。
2000年代初めの日本の不良債権問題を研究し、思い切った公的資金の投入や金融緩和を行ったことが事態を速やかに好転させることになったのでしょう。


この10年間を振り返った時、「2極化」と「過剰流動性」という言葉が浮かびます。
日銀資金循環統計によれば、家計の金融資産は2008年3月末の1500兆円から2018年3月末に約1900兆円に増加しています。株式・投資信託が150兆円から300兆円に倍増、現預金は800兆円から約1000兆円弱に増加していますが、国民一人一人のレベルで見た場合は「2極化」が進んでいるものと思われます。
また、別の注目点は民間非金融法人企業の金融資産の状況です。2008年3月末の700兆円から2018年3月末には1300兆円と急増しています。今後、法人税減税を進めていけば企業の資金はより潤沢になります。これらの資金が研究開発や設備投資に活用されれば良いのですが・・・。企業は金持ち、個人は? といった2極化は好ましい事ではありませんね。

資産運用の世界に入って30年以上たちますが、晴れの日もあれば曇りの日、時には大嵐にもあいました。
特にこの10年間で、金融界を取り巻く環境は大きく変わりました。世界的な低金利環境、個人の資産運用を促す税制改正(NISA,iDeCoなど)、企業のビジネスモデルの変化、先進国・新興国の線引きの不確かさ などなど。
これからは単純に資産分散投資を考えればいいという状況ではなくなってきています。

2018年5月の東京の空は五月晴れが多かったですね。
明るい未来のために、皆様と一緒に「投資信託および保険を含めた総合的な資産運用方法」について考えていければと思っております。